日々のせいか

郊外のマンションで、ネコとカメと壊れたオジサン看ています。

2016-01-01から1年間の記事一覧

担当者会議

半年に一度くらいでしょうか。不定期に開かれる担当者会議は、わたしの歓迎するところです。在宅介護の家庭によっては、自宅に関係者が押し寄せるこの会議が、面倒だったりプレッシャーを感じる向きもあるでしょう。けれどわたしにとって担当者会議は『チー…

後妻業の女

土曜日の客席は、中高年カップルでいっぱい‼︎ほんまに夫婦円満なのか、刺激欲しいのか?わたし、映画はかなりよく観ます。いつもひとり気ままはいいのだけど困った癖があります。それは、これから観に行く映画に、服装を合わせちゃうこと。コスプレまでじゃ…

青い小さな本

わたしの部屋のベッドサイド。狭いテーブルの上は目覚まし時計や香水瓶、犬のぬいぐるみなどが雑然と乗っています。そして、端っこにはいつも青い小さな本があります。2009年の冬。わたしは、駅の南口の雑踏を歩いていました。すると、ふいに一人の女性が現…

口ぐせ

気がつけば、「よし、次」と言うのが、最近のわたしの口ぐせです。家にいる時間、わたしにはぼんやり座っている暇がありません。エムの介護を巡るもろもろがわたしの休息を侵食するからで、時間を持て余しているスポーツクラブに通う同年代の友人たちとはま…

モノローグ

・・・だから、お父さん。お母さんを少し休ませてあげてよ。ショートステイ施設の隣りの居室から、男性の声が聞こえてきます。認知症の父親を預けて帰ろうしているのでしょう。開けかけたドアからはボソボソと老人の声もしますがそちらは聞き取れず、息子の…

嵐の夜に

台風が疾走した新宿。大昔の飲み仲間と邂逅するに相応しい夜でした。ジーパンに長靴のわたしと、ちょいメタボ&痩身のおっさん二人の、昔のドリカム編成です。一人が長い名古屋勤務から足を洗ったのをきっかけに10数年ぶりに集結。花園神社から4丁目界隈、末…

車内のケモノ

悲しい事故を伝えるニュース映像には、主人を失い、地下鉄のホームに身を伏せる盲導犬の姿が映り込んでいます。その姿は、わたしが2年ほど前に電車内で体験したある出来事を思い起こさせました。・・・車内は、学生や通勤客で混み合っていました。乗りこん…

愛しのナーベラー

友人から、日除けに植えたゴーヤが豊作と聞き、ほいほい出かけてきました。なるほど見事な苦瓜の棚。そのイボイボの瓜が沢山ぶら下がる中に、つるりと滑らかな糸瓜が二つ三つ・・・。「ワッ、ナーベラー」つい叫んでしまいました。聞けば、これは日除けとは…

夏の涼しいアイテムは

いきなり黒焦げになりそうな、とんでもない猛暑日。エアコンの虜になりそうな昼下がりに、妙案が浮かびました。水を満たしたバスタブにライムをギュッと絞って、いつものシャワータイムとは違うおサカナになる時間。マンションの中庭からは、水遊びをする子…

気合いのクッキング

「きぬかつぎ」というのかな。親指の頭ほどの小さな里芋を、ざる一杯ごしごしと洗ってから茹であげ、ぱらぱらと塩をふる。豚ロースの固まりは、たこ糸で可愛く緊縛したら、梅干しと一緒に鍋でことこと、酸味のきいた煮豚のできあがり。あとは、ぱりばりに冷…

ツルは前へ前へ

夕暮れのベランダには、酷暑をやり過ごした植木たちが、ほっとしたように緑の葉を茂らせています。なかでも特異な光景を見せているのは、フウセンカズラのツルです。ご存知ですか?名前の通り風船そっくりのまん丸な実?をつけるツル草です。そのカズラがベ…

右の胸

わたしは逆境というか修羅場に強いのです。エムのことの以前からそう思っていました。例えば、バスでテロリストと乗りあわせても驚愕しないで、状況を見たあと反撃を考えちゃうぞ、くらいに。けれど、そんなわたしが絶対無理なのが、病気です。不治の病と知…

シン・ゴジラ

日曜日、観に行きました。ハリウッドも含めて約30作は映画化されて来たゴジラ。今回はどんな姿を見せてくれるのだろうと、期待にワクワクして大人も子どもも映画館に向かうのはゴジラシリーズならではの光景なのでしょう。今回のテーマは、お馴染みの怪獣ゴ…

夏のお嬢さん

エムの送迎車を見送ってエントランスに戻ると、インタフォンの前で何やら惑う素振りのご婦人をお見かけしました。わたしがエントランスの扉を開けてお招きすると、丁寧に御礼を述べられてから、こう続けられます。「もう数年ぶりに訪ねて来たのですけれど、…

間に合うかも知れません。

まだ考え続けています。テロリストと一緒じゃん、と手早く片付けたい向きもあるでしょう。けれど、この事件は違う。腐った種子は、中東の空から降ってきたわけじゃなく、日本の土壌から芽吹いた腐った種子なのだと思います。わたしがボヤッとしていたのかも…

腐った種子が

朝の凄惨なニュースに言葉も無く、起き抜けに服と一緒に選んだペンダントを小さなイコンのそれに替えました。信仰を持たないわたしでもそうしたように、日本のあちこちの家で神棚や仏壇に手を合わせたり、あるいはそっと目を伏せるだけでも心ある人はしたこ…

野生の世界

空模様を眺めながらベランダに出たら、足元の青ジソの鉢に、小さな小さなバッタを見つけました。爪切りで切った爪のような細い三日月型のバッタは、よく見ると5、6匹もいて、風で揺れる葉っぱにしがみついている様子は可愛いものです。実は、このシソは数日…

ツマのひと声

そもそも、わが家の朝はスリリング。毎朝、わたしはそっと自室のドアを開けて廊下に首を出し、何か異変はないかと気配を窺い、耳をすませ、鼻をクンクンさせます。過去この時点で発覚したエムの惨事・椿事は数知れず。まあ月に一度かな、場数を踏んでいても…

ささやかな矜持

歳月の海の底から不意に面影が浮かび上がる。そんな経験はありませんか。十数年ぶりに、以前の職場の上司からお電話をいただきました。驚いたのは、声を聞いた瞬間です。聴覚の記憶って凄いですね。メールではおぼろげだったその方の姿、笑い方、仕草、銀座…

拝啓 舛添要一さま

その後いかがお過ごしでしたか。政治学者の書斎の窓からは、閑静な湯河原の緑、なら良いのですが、都内のご自宅でしたら選挙カーの騒音が響いてウザいのではないでしょうか。都知事選は有力3候補の激戦となりましたが、前知事舛に応援のオファーはございまし…

とりどりガールズ

若い、それも10代真ん中へんの女の子が4人、夕方ドヤドヤやって来ました。さてと!タンクトップに短パンで出迎えたわたしは、4人を並べると順番に浴衣を着せかけます。ピンクの金魚、黄色の向日葵、ブルーの紫陽花、オレンジの蜻蛉・・・浴衣はやっぱり、藍…

ピアニッシモ

夕方の同じ時間、デイサービスの送迎車を待って道端に立っていると、何人かの同じ顔を見るようになり、自然と会釈するようになります。その一人に、10才くらいの女の子がいました。大きな瞳におかっぱが似合うその子は、2年くらい前から、大好きなピアノ教室…

エールの一皿

朝から小山のようなタマネギを刻み、大きな寸胴鍋相手にひたすらカレー作りです。元々料理好きですし、カレーの鍋を回していると、昔大勢の子どもを連れていったキャンプの思い出がよみがえります。キャンプのカレーは、豚コマが定番でしたけど、今つくって…

ミラクル

欲しくもないギフトをもらってまもなく9年。今も物心両面を困難が襲います。でも、辛いことが1000個くらいあると25個くらい良いことがあって、しかも日常にはめったに見られない無いミラクルが混じっていたりするのです。そういうときに、わたしは天の配剤っ…

ギフト

参院選の結果は与党過半数を超え、憲法改正が射程範囲となりました。日本はどうなっちゃうのだろうと思いますが、日々生活するのに必死なわたしに悲観する暇もなく、何が来ても受けてやるぜ、みたいな気持ちです。夫の不慮の事故以来、わたしは運命にひるむ…

いつも笑顔で迎えるために

「認知症の夫の心に寄り添って歩む」と題された講演を聴きました。話し手の女性は70代の主婦。同年代の夫がレビー小体型認知症を患ってから4年半に及ぶ介護の日々を、ときおり笑みもこぼれる穏やかな口調で語っています。当初は日常の些細な物忘れだったは…

花のとき

スーパーの駐輪場で、スーツ姿の女性が「シュート、シュート!」と連呼しています。もちろんサッカーであるわけもなく、わたしはその声を背中で聞きながら店内をかなり進んで行くと、小さな男の子がポツンと立っていました。まさに迷い子のビンゴ‼︎「シュー…

一喜一憂

どうしてフォントばらばらなんでしょ?初めてのブログに張り切ってアップしたのに、今ちょっと凹んでいます。少しずつ学習していきますので、その成果をたまに見に来てくださったら嬉しいです。あ、それと写真のカメは、うちのコじゃなくて伊豆のゾウガメ君…

変てこ家族計画

夫であるエム氏を自宅で看ると決めたときのことです。在宅介護の準備に奔走するケアマネさんを尻目に、わたしは、猫を飼う準備を着々と進めていました。これから自分が背負うものの重さを、なんとか和らげたかったのかもしれません。こうして2008年冬、千葉…

星に願いを

七夕です。最近ご贔屓のちょいお高いスーパーに笹が設置してあったので、わたしも願い事を書きました。『ブイ君の日々が穏やかでありますように』福島の被災猫、ブイを飼い始めてから丸3年がたちました。我が家に来たときには心を閉ざし、壁と家具の隙間でほ…