日々のせいか

郊外のマンションで、ネコとカメと壊れたオジサン看ています。

青い小さな本

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わたしの部屋のベッドサイド。狭いテーブルの上は目覚まし時計や香水瓶、犬のぬいぐるみなどが雑然と乗っています。そして、端っこにはいつも青い小さな本があります。
2009年の冬。わたしは、駅の南口の雑踏を歩いていました。すると、ふいに一人の女性が現れて「良かったら受け取って下さい」と一冊の本を差し出しました。本は、元々自分の物のようにわたしの手になじみます。礼を言って歩き出し、開いてみると聖書だったのです。驚いて振り返ると師走の人混みがあるばかりで、本を配る人など何処にもいません。
それはエムを自宅に引き取って1年が過ぎた頃の出来事でした。
わたし、泣いてたわけじゃないし、むしろ颯爽と歩いていたつもりです。なのに、まるで上空から誰かが見ていて「あの者にこれを届けなさい」と言ったようなミラクル。
わたしは宗教を持ちません。なのに青い小さな本は、時々開いても何行も読むことのないまま、わたしを守ってくれているかのようです。