日々のせいか

郊外のマンションで、ネコとカメと壊れたオジサン看ています。

モノローグ

・・・だから、お父さん。お母さんを少し休ませてあげてよ。

ショートステイ施設の隣りの居室から、男性の声が聞こえてきます。認知症父親を預けて帰ろうしているのでしょう。開けかけたドアからはボソボソと老人の声もしますがそちらは聞き取れず、息子の声だけがシンとした夜の空気に流れてきます。

・・・お母さん一人でゆっくり寝たいんだって。・・・いや、そのお母さんは死んだでしょ?

だからお父さんのお母さんじゃなくてお母さん・・・トモコさんだ。あなたの奥さんのトモコさんがもう辛くて休みたいので、あなたは今夜ここに泊まってください」

認知症じゃなくてもわかりづらい自分の説明に自分で焦れてきたのか、話し始めの声にはあった憐れみの色も薄らいで苛立ちだけが募っていく息子のモノローグは、まだまだ続きそうです。

わたしの横にはわたしの夫のエムがいて、ショートの担当者とわたしの引き継ぎを聞いているのかいないのか。それが終われば、わたしは「では、失礼」と言い残して席を立つだけ。エムからのリアクションはいつもありません。

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